公民権運動

もう一つ、ディスコ・ブームに影響を与えた社会的背景があります。それは、1950〜60年代に起こった、公民権運動です。当時はアメリカでまだ人種差別が根強く残っており、公民権の獲得と差別の撤廃に多くの人が立ち上がったのです。ディスコの発展には、アフリカ系アメリカ人の間で生まれたソウルミュージックが欠かせません。公民権運動の後に社会的地位が向上したアフリカ系アメリカ人が、ディスコの盛り上げに大きく貢献し、一大ブームへとつながっていったのです。

公民権運動から数十年が経った現在でも、人種差別が完全に撤廃されたわけではありません。しかし、人種の垣根を取り払った大統領が誕生するなど、アメリカには歴史的変化が起こっています。ディスコ・ブームはアフリカ系アメリカ人をはじめとする少数派の人種がけん引し、既存の風習に抵抗した人々に支持されて現在に至ります。単純に若者が現実逃避するシーンというわけではなく、社会的な背景も大きく関わっているのです。

日本でのディスコ・ブームが開始した頃も、演劇や音楽などに既存の文化とは全く異なるカウンターカルチャーが生まれました。やはり、ディスコ・ブームとも関係が深く、当時最先端をいっていた文化人や芸能人、モデルなどに憧れて、ディスコに足を向ける人が増えてきたのです。